御在所岳・中腹(三重県)

御在所岳・中腹(三重県)
住所 〒510-1233 三重県三重郡菰野町菰野
公式 URL http://www.gozaisho.co.jp/
例年の見頃 10月下旬〜11月中旬

御在所岳・中腹(三重県)完全ガイド:登山ルート・見どころ・アクセス情報

御在所岳・中腹エリアの概要

御在所岳は三重県三重郡菰野町と滋賀県東近江市の境に位置する標高1,212mの山で、鈴鹿山脈の主峰として知られています。日本二百名山や鈴鹿セブンマウンテンにも選定されており、東海地方を代表する名峰です。

御在所岳の中腹エリアは、標高約400mから800m付近に広がる区域で、山麓の湯の山温泉から山頂へと向かう途中に位置しています。この中腹エリアこそが、御在所岳の魅力が凝縮された特別な場所なのです。花崗岩質の地質が生み出す奇岩・巨岩、四季折々の植生、そして変化に富んだ登山ルートが登山者を魅了し続けています。

中腹は御在所ロープウェイの中間地点でもあり、ゴンドラから眺める景色は圧巻です。また、複数の登山ルートが交差する要所でもあり、登山者にとっては重要な通過点となっています。湯の山温泉から山頂までの標高差は約800mあり、その中間に位置する中腹エリアは、体力的にも景観的にも登山の醍醐味を味わえる場所といえるでしょう。

御在所岳中腹の地形と地質の特徴

断層山脈としての鈴鹿山脈

鈴鹿山脈は典型的な断層山脈であり、この地質学的特徴が御在所岳中腹の景観を形作っています。三重県側から見ると山脈は切り立っており、山稜の形が美しく、各山からの眺望に優れているのが特徴です。一方、滋賀県側から見た山の構造は比較的緩やかで、同じ山でありながら全く異なる表情を見せます。

この断層活動により、太古に形成された花崗岩が地表に露出し、長い年月をかけた風化と侵食により、中腹エリアには独特の地形が生まれました。急峻な岩壁、深い谷、そして奇岩の数々は、すべてこの地質学的プロセスの産物なのです。

花崗岩質がもたらす奇岩・巨岩

御在所岳は花崗岩質が多く、太古に堆積した花崗岩が侵食により山肌に現れ、さまざまな形の巨岩・奇岩が見られるのが最大の特徴です。特に中腹エリアには、登山者を驚かせる奇岩が集中しています。

中道登山道の三大奇岩として知られるのが「負ばれ岩(おばれいわ)」「地蔵岩」「立岩」です。中でも地蔵岩は御在所岳を代表する奇岩で、高さ約8mの巨岩の上に約12mの岩が絶妙なバランスで乗っている姿は、まさに神秘的です。その形が地蔵菩薩に似ていることから名付けられ、山域のあちこちに点在する奇岩の中でも特に有名で、多くの登山者が記念撮影をする人気スポットとなっています。

負ばれ岩は、今にも転がり落ちそうな巨大な岩が斜面に引っかかっているように見える奇岩で、その不安定な姿が登山者の目を引きます。立岩は垂直に切り立った岩壁で、その迫力ある姿は中道登山道のハイライトの一つです。

これらの奇岩は、花崗岩特有の節理(岩石の割れ目)に沿って風化が進み、長い年月をかけて現在の姿になったものです。花崗岩は比較的均質な岩石ですが、冷却の過程で生じた節理により、特定の方向に割れやすい性質があります。この性質と、風雨による差別侵食が組み合わさることで、独特の造形が生まれるのです。

中腹の地形的特徴

中腹エリアの地形は変化に富んでおり、緩やかな尾根、急峻な岩場、深い谷が複雑に入り組んでいます。標高600m付近には比較的平坦な場所もあり、登山者の休憩ポイントとなっています。一方で、藤内壁に代表される垂直に近い岩壁も存在し、ロッククライミングの名所としても知られています。

藤内壁は御在所岳の東面に位置する大岩壁で、高さ約200mにも及びます。この岩壁は中腹から山頂近くまで続いており、多くのクライミングルートが開拓されています。冬季には氷瀑となり、アイスクライミングの対象にもなります。

中腹の谷筋には豊富な水が流れており、特に雪解けの時期や梅雨時には水量が増し、小さな滝や渓流が美しい景観を作り出します。この水の流れが、さらなる侵食を促進し、地形の変化を続けています。

中腹エリアの四季折々の自然と植生

春:マンサクとアカヤシオの楽園

御在所岳の花の開花は、3月下旬に中腹に咲くマンサクから始まります。マンサクの名前の由来は「まず咲く」から来ているとされ、まだ雪が残る中腹の斜面に、黄色い花が春の訪れを告げます。マンサクは落葉低木で、花弁が細長くリボン状になっているのが特徴です。まだ他の植物が芽吹く前に咲くため、中腹の森の中で一際目立つ存在となります。

4月下旬から5月上旬にかけては、御在所岳を代表する花であるアカヤシオが花開きます。別名ヒメツツジともいい、中腹から山頂にかけて分布しています。淡いピンク色の花が山肌を彩る様子は、まさに「花の御在所岳」と呼ぶにふさわしい光景です。

アカヤシオは落葉低木のツツジで、葉が出る前に花が咲くため、満開時には枝全体がピンク色に染まります。特に中腹の標高600m~800m付近に群生しており、登山道沿いで美しい花を楽しむことができます。御在所ロープウェイからも、中腹一帯がピンク色に染まる様子を眺めることができ、この時期は多くの観光客が訪れます。

その他、春の中腹ではイワカガミ、シャクナゲ、ミツバツツジなども見られ、6月頃まで花の御在所岳を楽しむことができます。

夏:深緑と涼風の中腹

夏の中腹は深い緑に覆われます。ブナやミズナラなどの落葉広葉樹が生い茂り、森林浴に最適な環境となります。標高が高いため、山麓の湯の山温泉と比べて気温は5~10度低く、涼を求める登山者にとって快適な場所です。

中腹の森には、ヤマボウシ、リョウブ、ウツギなどが花を咲かせ、林床にはギンリョウソウやツルアリドオシなどの小さな花も見られます。また、渓流沿いではサワグルミやトチノキが大きく育ち、水辺の涼しげな景観を作り出しています。

夏は昆虫も豊富で、オオムラサキやミヤマカラスアゲハなどの蝶類、ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどの甲虫類も観察できます。野鳥も活発で、ウグイス、ホトトギス、コルリなどのさえずりが森に響きます。

秋:中腹から始まる紅葉の絶景

御在所岳の紅葉は、10月中旬頃から山頂付近で始まり、徐々に中腹へと降りてきます。10月下旬から11月上旬にかけて、中腹エリアは最も美しい紅葉の時期を迎えます。

ブナやミズナラの黄色、カエデ類の赤、ツツジ類の紅色が山肌を彩り、花崗岩の白い岩肌とのコントラストが見事です。特に御在所ロープウェイから眺める中腹の紅葉は圧巻で、ゴンドラの中から360度のパノラマで紅葉を楽しむことができます。

中道登山道を歩けば、紅葉のトンネルをくぐるような体験ができます。地蔵岩や負ばれ岩などの奇岩と紅葉の組み合わせは、御在所岳ならではの景観です。晴れた日には、紅葉越しに伊勢湾や名古屋方面の景色も望むことができます。

冬:樹氷と雪景色の幻想世界

冬の中腹は、雪と樹氷に覆われた幻想的な世界に変わります。御在所岳の樹氷は、西高東低の冬型気圧配置が強まったときに発生しやすく、特に1月から2月にかけてが見頃です。

樹氷は、過冷却された霧が樹木に衝突して凍結することで形成されます。中腹の標高700m付近から上では、条件が整えば見事な樹氷を見ることができます。風の強い尾根筋では、樹木全体が真っ白な氷に覆われ、まるで氷の彫刻のような姿になります。

御在所ロープウェイは冬季も運行しており、ゴンドラから中腹の樹氷を眺めることができます。また、山上には御在所スキー場もあり、冬のレジャーを楽しむ人々で賑わいます。

冬の登山は、アイゼンやピッケルなどの冬山装備が必要です。中腹の岩場は凍結していることが多く、滑落のリスクが高まります。しかし、適切な装備と技術があれば、雪化粧した奇岩や、樹氷の森を歩く素晴らしい体験ができます。

御在所岳中腹を通る登山ルート

中道登山道(中登山道)

中道登山道は、御在所岳の登山ルートの中で最も人気が高く、中腹の見どころを最も多く通るルートです。湯の山温泉駅近くの登山口から出発し、標高差約800m、距離約2.5km、所要時間は登り約2時間30分~3時間です。

ルートの特徴とハイライト

登山口からしばらくは樹林帯の中を進みます。最初は比較的緩やかな登りですが、標高500mを超えたあたりから徐々に傾斜が増してきます。中腹に入ると、御在所岳の特徴である花崗岩の岩場が現れ始めます。

標高600m付近で「負ばれ岩」に到着します。この巨岩は斜面に不安定に乗っているように見え、その迫力に圧倒されます。写真撮影の人気スポットで、多くの登山者がここで休憩を取ります。

さらに登ると、中道登山道最大の見どころである「地蔵岩」が現れます。標高約700m地点に位置し、絶妙なバランスで積み重なった巨岩は、まさに自然が作り出した芸術作品です。地蔵岩の周辺は比較的平坦で、休憩に適した場所となっています。

地蔵岩を過ぎると「立岩」があります。垂直に切り立った岩壁で、その迫力ある姿は登山者を圧倒します。この付近から、岩場の難易度が上がり、鎖場やクサリ場が連続します。

鎖場とキレット

中道登山道の後半、標高800m以上の区間には、いくつかの鎖場があります。これらは急峻な岩場を安全に通過するために設置されたもので、三点支持(常に手足のうち三点を岩に接触させる)の基本を守って慎重に進む必要があります。

特に有名なのが「キレット」と呼ばれる区間です。キレットとは、尾根が深く切れ込んだ場所を指す登山用語で、御在所岳のキレットは両側が切れ落ちた痩せ尾根となっています。鎖が設置されていますが、高度感があり、初心者には緊張を強いる場所です。しかし、このスリリングな体験こそが、御在所岳登山の醍醐味の一つとなっています。

キレットを通過すると、徐々に傾斜が緩み、山頂の御在所山上公園へと続きます。

登山の注意点

中道登山道は、鎖場やキレットがあるため、登山初心者にはやや難易度が高いルートです。滑りにくい登山靴、手袋、ヘルメット(推奨)などの装備を整え、天候が悪い日や雨の日は避けるべきです。岩場は濡れると非常に滑りやすくなります。

また、中腹には水場がほとんどないため、十分な飲料水を持参する必要があります。特に夏場は脱水症状に注意が必要です。

一ノ谷登山道(表登山道)

一ノ谷登山道は、御在所岳の最も古典的なルートで、湯の山温泉から一ノ谷沿いに登るコースです。距離約3km、所要時間は登り約3時間です。

ルートの特徴

このルートは中道登山道よりも緩やかで、鎖場も少ないため、登山初心者や家族連れに適しています。一ノ谷の渓流沿いを進むため、水の音を聞きながら登ることができ、夏場は涼しく快適です。

中腹エリアでは、渓流沿いの美しい景観を楽しむことができます。小さな滝や淵があり、春から初夏にかけては新緑が美しく、秋には渓谷の紅葉が見事です。

標高700m付近からは傾斜が増し、岩場も現れますが、中道登山道ほどの難易度ではありません。このルートからも、中腹の花崗岩の岩場や、遠くに伊勢湾を望む景色を楽しむことができます。

裏道登山道(藤内壁ルート)

裏道登山道は、御在所岳の東側、藤内壁の下を通るルートです。距離約2.5km、所要時間は登り約2時間30分です。

ルートの特徴

藤内壁は御在所岳を代表する大岩壁で、ロッククライミングのメッカとして知られています。裏道登山道は、この藤内壁の基部を通過し、中腹では迫力ある岩壁を間近に見ることができます。

中腹には藤内小屋があり、登山者の休憩ポイントとなっています。藤内小屋は無人の避難小屋で、緊急時には利用できますが、通常は外から眺めるだけです。この付近から藤内壁を見上げると、その圧倒的なスケールに驚かされます。

裏道登山道は、中道登山道よりも静かで、自然をじっくり楽しみたい登山者に人気です。中腹の森林は豊かで、野鳥や小動物に出会うチャンスも多くあります。

武平峠・国見尾根ルート

鈴鹿スカイラインの武平峠から入山し、国見尾根を経由して山頂を目指すルートもあります。このルートは中腹を横断する形となり、異なる角度から御在所岳を楽しむことができます。

国見尾根には「天狗岩」と「ゆるぎ岩」という奇岩があり、中腹から山頂にかけての見どころとなっています。天狗岩は、その形が天狗の鼻に似ていることから名付けられ、ゆるぎ岩は、押すと揺れるように見える(実際には動きません)巨岩です。

このルートは、鈴鹿スカイラインを利用できるため、アクセスが比較的容易ですが、公共交通機関での利用は難しく、マイカーやタクシーが必要です。

御在所ロープウェイから見る中腹の絶景

御在所ロープウェイは、湯の山温泉から御在所岳山上まで、全長約2,161m、高低差約780mを約12分で結ぶ、世界的規模を誇るロープウェイです。このロープウェイから眺める中腹の景色は、まさに絶景です。

ロープウェイの特徴

御在所ロープウェイは1959年(昭和34年)に開業し、以来60年以上にわたって多くの人々を山上へと運んできました。ゴンドラは定員61名で、15分間隔で運行されています(繁忙期は短縮運行)。

ゴンドラの窓は大きく、360度のパノラマビューを楽しむことができます。特に中腹を通過する際には、眼下に広がる樹海、遠くに見える伊勢湾、そして目前に迫る花崗岩の岩壁が織りなす景観は圧巻です。

四季折々のロープウェイからの眺め

:中腹のマンサクやアカヤシオが咲く時期は、ゴンドラから眺める山肌がピンクや黄色に彩られ、まるで空中散歩をしているような気分になります。新緑も美しく、芽吹き始めた木々の淡い緑が山全体を覆います。

:深緑に覆われた中腹は、濃淡のある緑のグラデーションが美しく、森林の豊かさを実感できます。晴れた日には、遠く伊勢湾の青い海も見え、山と海のコントラストが楽しめます。

:紅葉の時期は、ロープウェイが最も混雑する季節です。中腹一帯が赤や黄色に染まり、ゴンドラからは紅葉の海の上を飛んでいるような景色が広がります。特に朝日や夕日に照らされた紅葉は、言葉にできないほどの美しさです。

:雪化粧した中腹は、モノトーンの美しい世界となります。樹氷が発生した日には、白く凍りついた樹木が幻想的な景観を作り出します。ゴンドラの窓が曇らないように設計されているため、冬でもクリアな視界で景色を楽しめます。

中腹の見どころをロープウェイから

ロープウェイからは、登山道からは見えない角度で奇岩を眺めることができます。地蔵岩や負ばれ岩も、上空から見ると全く異なる姿を見せ、その造形の不思議さを改めて実感できます。

また、中腹を登る登山者の姿も見えることがあり、自分が登山した経験と重ね合わせて楽しむこともできます。逆に、登山中にロープウェイのゴンドラを見上げると、その大きさと高さに驚かされます。

中腹エリアへのアクセスと周辺施設

公共交通機関でのアクセス

電車とバス

  • 近鉄湯の山線「湯の山温泉駅」下車
  • 駅前から三重交通バス「湯の山温泉・御在所ロープウェイ前」行きに乗車、約8分
  • 終点「御在所ロープウェイ前」下車

近鉄湯の山温泉駅は、近鉄名古屋線の近鉄四日市駅から湯の山線に乗り換えてアクセスできます。名古屋方面からは、近鉄名古屋駅から近鉄四日市駅まで約30分、近鉄四日市駅から湯の山温泉駅まで約30分です。

バスは御在所ロープウェイの営業時間に合わせて運行されており、登山シーズンや紅葉シーズンには増便されることもあります。

自家用車でのアクセス

主要都市からの所要時間

  • 名古屋方面から:東名阪自動車道「四日市IC」より国道477号経由で約30分
  • 大阪方面から:新名神高速道路「菰野IC」より約10分
  • 滋賀方面から:鈴鹿スカイライン経由でアクセス可能(冬季閉鎖あり)

御在所ロープウェイ乗り場には、約300台収容の有料駐車場があります。紅葉シーズンや週末は混雑するため、早めの到着をおすすめします。満車の場合は、湯の山温泉街の駐車場を利用することになります。

湯の山温泉

御在所岳の山麓に位置する湯の山温泉は、1300年以上の歴史を持つ温泉地です。登山の前後に温泉で疲れを癒すことができ、多くの登山者が利用しています。

湯の山温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉で、肌に優しく「美人の湯」としても知られています。日帰り入浴施設も充実しており、登山後にすぐ温泉に入ることができます。

温泉街には、老舗旅館からモダンなホテルまで、さまざまな宿泊施設があります。前泊や後泊をして、ゆっくりと御在所岳を楽しむのもおすすめです。

御在所山上公園と山頂施設

ロープウェイで山上に到着すると、御在所山上公園が広がっています。ここには展望台、レストラン、売店などがあり、登山をしなくても山上の景色を楽しむことができます。

山上からは、鈴鹿山脈の山々、伊勢湾、名古屋市街、天気が良ければ富士山まで見渡せます。山頂付近には「大黒岩」と「富士見岩」という奇岩もあり、中腹とはまた違った景観を楽しめます。

冬季には御在所スキー場が営業し、スキーやスノーボードを楽しむことができます。また、山上からリフトでさらに上部へ行くこともできます。

中腹登山の装備と準備

基本装備

御在所岳中腹を通る登山には、以下の装備が必要です。

必須装備

  • 登山靴:足首を保護するミドルカット以上が推奨
  • ザック:日帰りなら20~30リットル程度
  • レインウェア:上下セパレートタイプ
  • 飲料水:最低1リットル以上(夏場は2リットル推奨)
  • 行動食:チョコレート、ナッツ、エネルギーバーなど
  • 地図とコンパス(またはGPS機器)
  • ヘッドランプ(予備電池も)
  • 救急セット
  • 携帯電話(予備バッテリーも)

推奨装備

  • トレッキングポール:岩場の多いルートでは特に有用
  • 手袋:鎖場で手を保護するため
  • ヘルメット:落石の危険がある岩場では推奨
  • サングラスと日焼け止め
  • 防寒着:山頂は平地より気温が低い

季節別の注意点

春(3~5月)

  • 残雪に注意。標高の高い場所では雪が残っていることがあります
  • 気温の変化が大きいため、重ね着できる服装を
  • 花粉症の方は対策を

夏(6~8月)

  • 熱中症対策が重要。十分な水分と塩分を
  • 雷に注意。午後は天候が崩れやすい
  • 虫よけ対策(蚊、ブヨ、ハチなど)

秋(9~11月)

  • 紅葉シーズンは混雑するため、早朝出発を推奨
  • 日が短くなるため、時間管理に注意
  • 朝晩の冷え込みに備えた防寒着を

冬(12~2月)

  • 冬山装備必須(アイゼン、ピッケル、冬用手袋など)
  • 気温は氷点下になることも。十分な防寒対策を
  • 日照時間が短いため、早めの行動を
  • 雪崩や滑落のリスクが高まるため、経験と技術が必要

登山計画と安全対策

登山前には必ず登山計画を立て、家族や友人に伝えておきましょう。登山届の提出も重要です。御在所岳の登山口には登山届のポストがあります。

天気予報を必ず確認し、悪天候が予想される場合は登山を中止する勇気も必要です。特に台風シーズンや冬季の低気圧接近時は、急激な天候悪化のリスクがあります。

単独登山よりも、複数人でのグループ登山が安全です。万が一のトラブル時に助け合うことができます。

体調管理も重要です。睡眠不足や体調不良の状態での登山は避けましょう。登山中に体調が悪くなった場合は、無理をせず引き返す判断も大切です。

御在所岳中腹の歴史と文化

山岳信仰の歴史

御在所岳は古くから山岳信仰の対象とされてきました。「御在所」という名前自体が、神仏が在る所という意味を持つとされています。中腹や山頂には、かつて修験者たちが修行を行った痕跡が残っています。

地蔵岩の名前も、仏教の地蔵菩薩に由来しており、この岩を信仰の対象としていた可能性があります。奇岩の多くに仏教や神道に関連する名前が付けられているのは、古来からの信仰の名残です。

登山の歴史

近代登山が始まったのは明治時代以降です。大正から昭和初期にかけて、日本アルプスの開拓が進む中、鈴鹿山脈も登山の対象として注目されるようになりました。

御在所岳は、名古屋や大阪などの大都市圏から日帰りで登れる山として人気を集め、多くの登山道が整備されました。中道登山道、一ノ谷登山道などは、この時期に本格的に整備されたものです。

戦後、1959年に御在所ロープウェイが開業したことで、登山者だけでなく観光客も山上を訪れるようになり、御在所岳は一大観光地となりました。

ロッククライミングのメッカとして

御在所岳、特に藤内壁は、日本のロッククライミング発祥の地の一つとされています。1920年代から、京都や大阪の登山者たちが藤内壁でクライミングを始め、多くのルートが開拓されました。

中腹の藤内壁には、現在でも100以上のクライミングルートがあり、初級者から上級者まで楽しめるフィールドとなっています。週末には多くのクライマーが訪れ、岩壁に挑戦しています。

冬季には、藤内壁の滝が凍結してアイスクライミングの対象となります。氷の壁を登る技術は、通常のロッククライミングとは異なる専門的なスキルが必要で、経験豊富なクライマーたちの挑戦の場となっています。

中腹で出会える動植物

植物相

御在所岳中腹の植生は、標高や地形によって多様です。標高500m以下の低山帯では、コナラ、アベマキ、ソヨゴなどの常緑広葉樹と落葉広葉樹の混交林が見られます。

標高500~800mの中腹では、ブナ、ミズナラ、イヌブナなどの落葉広葉樹林が優占します。これらの樹木は秋に美しく紅葉し、御在所岳の紅葉の主役となっています。

林床には、シダ植物やコケ類が豊富で、湿度の高い環境を好む植物が多く見られます。春にはカタクリ、イカリソウ、ニリンソウなどの春植物(スプリング・エフェメラル)が花を咲かせます。

岩場には、岩上に生育する特殊な植物も見られます。イワタバコ、イワギボウシ、イワヒバなどは、わずかな土壌でも生育できる適応力を持っています。

動物相

中腹の森には、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、タヌキ、キツネなどの哺乳類が生息しています。特にニホンジカは個体数が多く、登山道で出会うこともあります。

鳥類も豊富で、留鳥としてヤマガラ、シジュウカラ、コゲラ、アオゲラなどが一年中見られます。夏鳥としては、オオルリ、キビタキ、サンショウクイなどが渡来し、美しいさえずりを聞かせてくれます。

猛禽類では、ノスリ、サシバ、ハイタカなどが上空を舞う姿が見られることがあります。運が良ければ、イヌワシやクマタカといった希少種に出会えることもあります。

昆虫類は非常に多様で、チョウ類だけでも数十種が記録されています。ギフチョウ、オオムラサキ、ミドリシジミなど、美しい種が多く見られます。

自然保護の取り組み

御在所岳は、その豊かな自然環境を保護するため、鈴鹿国定公園の一部に指定されています。登山道以外への立ち入りは控え、植物の採取や動物への餌付けは禁止されています。

ゴミは必ず持ち帰り、自然環境への影響を最小限にする「Leave No Trace(痕跡を残さない)」の原則を守ることが求められています。

まとめ:御在所岳中腹の魅力

御在所岳の中腹エリアは、標高400mから800mに広がる、この山の魅力が凝縮された特別な場所です。花崗岩質の地質が生み出した地蔵岩、負ばれ岩、立岩などの奇岩・巨岩は、自然の造形美を堪能できる貴重な存在です。

四季折々の表情も中腹の大きな魅力です。春のマンサクとアカヤシオ、夏の深緑、秋の紅葉、冬の樹氷と雪景色。どの季節に訪れても、異なる美しさに出会えます。

中道登山道をはじめとする複数の登山ルートは、初心者から経験者まで、それぞれのレベルに応じた山登りを楽しめます。鎖場やキレットといったスリリングな区間は、登山の醍醐味を味わえる場所です。

御在所ロープウェイを利用すれば、登山をしなくても中腹の絶景を空中から楽しむことができます。ゴンドラから眺める景色は、登山道からとはまた違った感動を与えてくれます。

名古屋や大阪などの大都市圏からアクセスしやすく、日帰りでも十分に楽しめる御在所岳。山麓の湯の山温泉で登山の疲れを癒せるのも、大きな魅力です。

御在所岳中腹は、自然の美しさ、地質の面白さ、登山の楽しさ、そして歴史と文化が融合した、まさに山の宝庫です。一度訪れたら、必ずまた訪れたくなる、そんな魅力に満ちた場所なのです。

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