郡上八幡城(岐阜県)完全ガイド|日本最古の木造再建城の歴史・見どころ・アクセス情報
郡上八幡城とは
郡上八幡城(ぐじょうはちまんじょう)は、岐阜県郡上市八幡町柳町にある標高353メートルの八幡山山頂に建つ山城です。別名「積翠城(せきすいじょう)」とも呼ばれ、戦国時代末期の永禄2年(1559年)に遠藤盛数が築いた砦を起源としています。
現在の天守閣は昭和8年(1933年)に再建されたもので、日本最古の木造再建城として全国的に知られています。4層5階の構造を持ち、郡上市指定有形文化財に指定されているほか、城跡は岐阜県指定史跡、続日本100名城第141番にも選定されています。
作家の司馬遼太郎が「日本で最も美しい山城」と評したことでも有名で、近年では「天空の城」として、秋から冬にかけて発生する雲海に浮かぶ幻想的な姿が地元カメラマンによって撮影され、一躍人気の観光スポットとなりました。
郡上八幡城の歴史
戦国時代末期の創建
郡上八幡城の歴史は、永禄2年(1559年)に遠藤盛数が八幡山(当時は牛首山と呼ばれていた)の山頂に砦を築いたことに始まります。遠藤盛数は東氏に仕えていましたが、東氏が斎藤龍興に攻められて滅亡すると、郡上の地を支配することになりました。
永禄9年(1566年)には、盛数の子である遠藤慶隆が本格的な城郭として郡上八幡城を築城しました。慶隆は織田信長、豊臣秀吉に仕え、関ヶ原の戦いでは東軍(徳川家康側)に属して功績を上げました。
興味深いことに、初代城主・遠藤盛数の長女が山内一豊の妻・千代(見性院)であるとされており、城の山麓には山内一豊と妻千代の像が建てられています。
江戸時代の変遷
江戸時代に入ると、郡上八幡城は何度も城主が交代します。遠藤氏の後、稲葉氏、井上氏、金森氏と続き、宝暦8年(1758年)には青山氏が入城しました。青山氏は幕末まで郡上藩主として城を治め、石高は4万8千石でした。
江戸時代を通じて、郡上八幡城は郡上藩の政治・軍事の中心として機能し、城下町も整備されていきました。現在も残る美しい城下町の街並みは、この時代に形成された都市計画の名残です。
明治維新後の廃城と再建
明治維新後、明治4年(1871年)の廃藩置県により郡上藩は廃止され、明治6年(1873年)には廃城令により郡上八幡城も取り壊されることになりました。天守や櫓などの建造物は解体され、石垣と曲輪の一部のみが残されました。
その後、昭和8年(1933年)に当時の大垣城を参考にした木造の模擬天守が再建されました。これが現在の天守閣であり、日本最古の木造再建城として貴重な文化財となっています。昭和30年(1955年)には石垣などの城跡が岐阜県指定史跡に、昭和62年(1987年)には再建天守が郡上市文化財に指定されました。
平成29年(2017年)には続日本100名城に認定され、令和4年(2022年)11月から令和5年(2023年)4月にかけて耐震補強工事が実施され、同年4月29日にリニューアルオープンしました。
郡上八幡城の見どころ
日本最古の木造再建天守
郡上八幡城最大の見どころは、昭和8年(1933年)に再建された木造天守閣です。鉄筋コンクリート造りではなく、伝統的な木造建築で再建された天守としては日本最古のものであり、建築史的にも非常に価値があります。
4層5階建ての天守内部には、郡上藩の歴史資料、歴代城主の家宝、甲冑、刀剣などが展示されており、郡上の歴史を学ぶことができます。急な階段を登って最上階まで上がると、360度のパノラマビューが広がり、郡上八幡の城下町を一望できます。
木造ならではの温かみのある雰囲気と、床を踏みしめた時の軋む音は、鉄筋コンクリート造りの城では味わえない独特の魅力です。
野面積みの石垣
郡上八幡城を訪れたら必見なのが、戦国時代から江戸時代初期にかけて築かれた野面積み(のづらづみ)の石垣です。野面積みとは、自然石をほとんど加工せずに積み上げる技法で、一見粗雑に見えますが、実は高度な技術が必要とされます。
石と石の間に隙間があることで排水性が良く、地震にも強いという特徴があります。郡上八幡城の石垣は、戦国時代末期の築城技術を今に伝える貴重な遺構として、岐阜県の史跡に指定されています。
特に本丸周辺の石垣は保存状態が良く、当時の姿をよく残しています。石垣を眺めながら城内を散策すると、戦国時代の武将たちの息吹を感じることができるでしょう。
天空の城としての絶景
近年、郡上八幡城は「天空の城」として全国的な注目を集めています。秋から冬にかけての早朝、特に11月上旬から中旬にかけて、気象条件が整うと八幡山の周辺に雲海が発生し、城が雲の上に浮かんでいるように見える幻想的な光景が現れます。
この絶景は地元のカメラマンによって撮影され、SNSなどで拡散されたことで一躍有名になりました。雲海に浮かぶ郡上八幡城の姿は、まさに天空の城と呼ぶにふさわしい神秘的な美しさです。
雲海を見るためには、城下町から少し離れた展望スポットから早朝に撮影する必要があります。城山公園や周辺の高台が撮影ポイントとして知られています。
紅葉の名城
郡上八幡城は「もみじの名城」としても人気があります。11月初旬から中旬にかけて、城の周辺が紅葉で真っ赤に染まり、白い天守閣とのコントラストが見事な景観を作り出します。
特に城内から見下ろす紅葉に彩られた城下町の眺めは格別で、多くの観光客が訪れます。紅葉シーズンには夜間ライトアップも実施されることがあり、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。
城へと続く登城道も紅葉で彩られ、秋の散策路として最適です。徒歩で登る場合は約20分ほどかかりますが、紅葉を眺めながらの登城は格別の趣があります。
城下町を一望できる展望
天守最上階からの眺望も郡上八幡城の大きな魅力です。標高353メートルの八幡山山頂から、郡上八幡の美しい城下町を360度見渡すことができます。
長良川の清流、碁盤の目のように整然と区画された町並み、周囲を囲む山々など、郡上八幡の地形と歴史を一望のもとに理解できる絶好のビューポイントです。天気が良い日には、遠く白山連峰を望むこともできます。
城下町には「宗祇水」などの名水スポット、郡上八幡博覧館、郡上八幡旧庁舎記念館などの観光施設も点在しており、城から見下ろしながらこれから訪れる場所を確認するのも楽しみの一つです。
郡上八幡城の基本情報
住所・所在地
住所:〒501-4214 岐阜県郡上市八幡町柳町一の平659
郡上八幡城は郡上市の中心部、八幡山の山頂に位置しています。城下町からも徒歩でアクセス可能な距離にあります。
営業時間・開館時間
郡上八幡城の営業時間は季節によって異なります:
- 3月~5月、9月~10月:9:00~17:00
- 6月~8月:8:00~18:00
- 11月~2月:9:00~16:30
※最終入場は閉館時間の30分前までです。
※年末年始(12月20日~1月10日)は休館日となる場合があります。
※天候や施設の都合により営業時間が変更になる場合があるため、訪問前に公式サイトで確認することをおすすめします。
入場料金
- 大人(高校生以上):400円
- 小人(小中学生):200円
- 未就学児:無料
お得な共通券:
- 郡上八幡博覧館との共通券:大人750円、小人400円
団体割引(20名以上)もあります。詳細は現地でお問い合わせください。
駐車場情報
郡上八幡城には以下の駐車場があります:
- 城山公園駐車場(無料・約20台):城のすぐ近くまで車で行くことができます。ただし、道が狭く急勾配のため、運転に自信のない方は城下町の駐車場を利用して徒歩で登ることをおすすめします。
- 城下町駐車場(有料):郡上八幡市街地にはいくつかの有料駐車場があります。城下町観光と合わせて訪れる場合は、こちらを利用すると便利です。
紅葉シーズンや夏の観光シーズンには駐車場が混雑するため、早めの到着がおすすめです。
アクセス方法
電車・バスでのアクセス
最寄り駅:長良川鉄道「郡上八幡駅」
- 名古屋方面から:
- JR東海道本線で岐阜駅まで約20分
- 岐阜駅から長良川鉄道に乗り換え、郡上八幡駅まで約1時間20分
- 郡上八幡駅から城まで徒歩約30分、またはタクシーで約5分
- 高速バス:
- 名古屋駅から高速バス「郡上八幡線」で約2時間
- バス停「城下町プラザ」下車、徒歩約20分
郡上八幡駅や城下町プラザから城までは徒歩で20~30分程度です。城下町の風情を楽しみながらの徒歩での登城がおすすめですが、まちなみ交流バス(コミュニティバス)も利用できます。
車でのアクセス
- 名古屋方面から:
- 東海北陸自動車道「郡上八幡IC」から約10分(約5km)
- 高山方面から:
- 東海北陸自動車道「郡上八幡IC」から約10分(約5km)
カーナビの設定は「郡上八幡城」または電話番号「0575-67-1819」で検索できます。
城山公園駐車場まで車で行く場合、城下町から山頂までの道は狭く急勾配のため、運転に注意が必要です。対向車とのすれ違いが困難な箇所もあるため、大型車での登城は避けた方が無難です。
徒歩での登城ルート
城下町から郡上八幡城まで徒歩で登る場合、以下のルートがあります:
- 正面登城道:城下町から約20分の登山道。石段が続きますが、途中で城の石垣を間近に見ることができます。
- 車道ルート:舗装された車道を歩くルート。約25~30分で、勾配は緩やかですが距離は長くなります。
歩きやすい靴での登城をおすすめします。特に雨天時や冬季は足元が滑りやすくなるため注意が必要です。
郡上八幡城周辺の観光スポット
郡上八幡博覧館
城から徒歩約15分の場所にある郡上八幡博覧館は、郡上八幡の歴史・文化・伝統を紹介する施設です。郡上おどりの実演や水の歴史、城下町の成り立ちなどを学ぶことができます。郡上八幡城との共通券もあり、効率的に観光できます。
宗祇水(そうぎすい)
日本名水百選の第1号に選ばれた湧水スポット。室町時代の連歌師・飯尾宗祇にちなんで名付けられました。今も地元の人々が生活用水として利用しており、郡上八幡が「水の町」と呼ばれる所以を実感できます。
やなか水のこみち
玉石を敷き詰めた風情ある小径で、水路沿いに柳が植えられています。郡上八幡らしい水と緑の景観が楽しめる散策路として人気です。
郡上八幡旧庁舎記念館
大正時代に建てられた旧八幡町役場を記念館として保存・公開している施設。大正ロマンを感じさせる洋風建築が美しく、郡上おどりや地域の歴史に関する展示があります。
郡上おどり
7月中旬から9月上旬にかけて開催される郡上八幡最大のイベント。特に8月13日から16日の「徹夜おどり」は夜通し踊り続ける日本屈指の盆踊りとして有名です。城を訪れる際には、ぜひ郡上おどりの時期に合わせて訪問することをおすすめします。
郡上八幡城の撮影スポット
天守最上階からの城下町
天守最上階からは郡上八幡の城下町を一望できます。長良川の流れと碁盤目状の町並みが美しく、特に紅葉シーズンや新緑の季節は絶好の撮影スポットです。
石垣と天守のコラボレーション
城内の石垣と白い天守閣を一緒に撮影できるポイントがいくつかあります。野面積みの石垣の力強さと木造天守の優美さのコントラストが魅力的な写真になります。
城下町からの遠景
城下町の路地から見上げる郡上八幡城も絶好の被写体です。町家の屋根越しに見える天守閣は、城下町と城の関係性を表現できます。
雲海撮影スポット
天空の城としての郡上八幡城を撮影するなら、城山公園周辺や八幡山の対岸にある高台がおすすめです。早朝(日の出前後)、秋から冬にかけて、前日との気温差が大きい日が雲海発生の条件です。
郡上八幡城を訪れる際の注意点
服装と持ち物
- 歩きやすい靴:城内は急な階段が多く、登城道も石段や坂道です。スニーカーなど歩きやすい靴が必須です。
- 季節に応じた服装:山頂は市街地より気温が低いため、特に春秋は上着を持参しましょう。
- 飲み物:特に夏季は登城で汗をかくため、水分補給用の飲み物を持参してください。
天守内の注意事項
- 木造建築のため、階段が急で狭くなっています。足腰に不安のある方は注意が必要です。
- 展示物の撮影は可能ですが、フラッシュ撮影は禁止されています。
- 天守内は土足禁止ではありませんが、床を傷つけないよう丁寧に歩きましょう。
混雑時期
以下の時期は特に混雑します:
- ゴールデンウィーク
- 夏休み期間(7月下旬~8月)
- 紅葉シーズン(11月上旬~中旬)
- 郡上おどり期間(特に徹夜おどりの時期)
混雑を避けたい場合は、平日の午前中がおすすめです。
郡上八幡城の歴代城主
郡上八幡城は江戸時代を通じて何度も城主が交代しました。主な歴代城主は以下の通りです:
遠藤氏時代(1559年~1600年代初頭)
- 遠藤盛数:初代城主。永禄2年(1559年)に砦を築く。
- 遠藤慶隆:盛数の子。永禄9年(1566年)に本格的な城郭を築城。関ヶ原の戦いで東軍に属し功績を上げる。
稲葉氏・井上氏時代(1600年代前半)
関ヶ原の戦い後、遠藤氏が移封されると、稲葉貞通が入城。その後、井上氏が短期間城主を務めました。
金森氏時代(1600年代中頃~1758年)
金森氏が長期間にわたり郡上を治めました。この時代に城郭や城下町の整備が進みました。
青山氏時代(1758年~明治維新)
宝暦8年(1758年)に青山幸道が入封し、以後、青山氏が幕末まで郡上藩主として城を治めました。石高は4万8千石で、明治維新まで続きました。
まとめ
郡上八幡城は、日本最古の木造再建城として歴史的価値が高く、天空の城や紅葉の名城としても知られる岐阜県を代表する観光スポットです。戦国時代末期から続く長い歴史、野面積みの石垣、木造天守の温もり、そして城下町を一望できる絶景など、多くの魅力が詰まっています。
郡上八幡の美しい城下町と合わせて訪れることで、より深く郡上の歴史と文化を理解することができるでしょう。春の新緑、夏の郡上おどり、秋の紅葉、冬の雲海と、四季折々の表情を見せる郡上八幡城は、何度訪れても新しい発見がある魅力的な城です。
ぜひ一度、この美しい山城を訪れて、司馬遼太郎が感動した「日本で最も美しい山城」の魅力を体感してください。