照葉峡(群馬県)完全ガイド|水原秋桜子が命名した11の滝と紅葉の絶景
群馬県利根郡みなかみ町に位置する照葉峡(てりはきょう)は、「関東の奥入瀬」とも称される秘境ムードあふれる渓谷です。俳人・水原秋桜子が「これほどの紅葉はない」と絶賛し、自ら命名した大小11の滝が約5kmにわたって点在する景勝地として知られています。
利根川の支流である湯ノ小屋沢川(木の根沢)の上流に広がるこの渓谷は、四季折々の美しさを見せてくれますが、特に10月上旬から中旬にかけての紅葉シーズンには、息をのむような色彩の競演が繰り広げられます。
照葉峡の歴史と名前の由来
照葉峡の名が広く知られるようになったのは、昭和初期に俳人・水原秋桜子がこの地を訪れたことがきっかけです。秋桜子は渓谷の美しさに感銘を受け、大小11の滝それぞれに詩情豊かな名前を付けました。
「照葉」という名前は、紅葉した木々の葉が光り輝く様子を表現したものと言われています。水原秋桜子は俳句の世界で自然美を追求した人物であり、この渓谷の持つ独特の雰囲気と美しさを的確に表現する名称として「照葉峡」と命名しました。
水原秋桜子が命名した11の滝
照葉峡の最大の魅力は、約5kmの区間に点在する11の滝です。下流から上流へ向かって以下の順に配置されています。
下流域の滝(潜龍の滝周辺)
潜龍の滝(せんりゅうのたき)は照葉峡の入口に位置する滝で、龍が潜むような神秘的な雰囲気を持っています。水量が豊富で、特に新緑と紅葉の時期には周囲の木々とのコントラストが美しい光景を作り出します。
翡翠の滝(ひすいのたき)は、エメラルドグリーンの水面が特徴的な滝です。光の加減によって水の色が変化し、まさに翡翠のような輝きを見せることから名付けられました。
木精の滝(こだまのたき)は、木々の精霊が宿るような静謐な雰囲気を持つ滝です。周囲の原生林と一体となった景観が特徴的です。
中流域の滝
つづみの滝は、水が岩を打つ音が鼓を叩くような響きを持つことから名付けられました。音の美しさも楽しめる滝として人気があります。
山彦の滝(やまびこのたき)は、渓谷に響く水音が山彦のように反響する様子から命名されました。
不断の滝(ふだんのたき)は、一年を通して水が絶えることなく流れ続けることから名付けられています。
時雨の滝(しぐれのたき)は、水しぶきが時雨のように降り注ぐ様子が美しい滝です。
上流域の滝(ひぐらしの滝周辺)
朝霧の滝(あさぎりのたき)は、早朝に訪れると霧に包まれた幻想的な姿を見せることから名付けられました。
岩魚の滝(いわなのたき)は、かつてイワナが多く生息していた場所に位置する滝です。
夕月の滝(ゆうづきのたき)は、夕暮れ時に月が昇る頃の美しさが格別であることから命名されました。
ひぐらしの滝は照葉峡の最上流に位置する滝で、ヒグラシの鳴き声が響く静かな環境にあります。照葉峡を代表する滝の一つとして多くの観光客が訪れます。
照葉峡の紅葉情報
紅葉の見頃時期
照葉峡の紅葉は例年10月上旬から色づき始め、10月上旬から中旬が最も美しい見頃を迎えます。標高が高いため、群馬県内でも比較的早い時期に紅葉が楽しめるスポットとして知られています。
気温の変化や天候によって見頃時期は前後しますので、訪問前にみなかみ町観光協会などで最新の紅葉情報を確認することをおすすめします。
紅葉の特徴
照葉峡の紅葉が「日本一」と称される理由は、その色彩の豊かさにあります。ブナ、カエデ、ナナカマド、ヤマウルシなど多様な樹種が織りなす赤、黄、オレンジのグラデーションは圧巻です。
特に清流に映り込む紅葉の姿は「水鏡」とも呼ばれ、実際の紅葉と水面に映る紅葉が一体となった幻想的な景観を作り出します。渓谷という地形が生み出す独特の光の加減も、紅葉の美しさを一層引き立てています。
紅葉の楽しみ方
照葉峡は歩道が整備されていないため、車窓からの観賞が基本となります。県道63号線(水上片品線)を湯ノ小屋温泉から奥利根水源の森方面へゆっくりと車を走らせながら、11の滝と紅葉の競演を楽しむことができます。
途中、安全な場所では車を停めて写真撮影も可能ですが、道幅が狭い箇所も多いため、他の車両の通行には十分注意が必要です。特に紅葉シーズンの週末は混雑が予想されるため、早朝や平日の訪問がおすすめです。
ドライブ中は急カーブや狭い道が続くため、運転に自信のある方と同行するか、助手席や後部座席から景色を楽しむのが良いでしょう。
照葉峡へのアクセス方法
車でのアクセス
関越自動車道・水上ICから約50分で照葉峡エリアに到着します。
- 水上ICを降りて国道291号線を北上
- 湯ノ小屋温泉方面へ進み、県道63号線(水上片品線)へ
- 湯ノ小屋温泉を過ぎてさらに奥へ進むと照葉峡エリアに到達
東京方面からは約3時間、新潟方面からは約2時間が目安です。
冬季(例年11月中旬から5月末まで)は県道の湯ノ小屋から先が閉鎖されるため、訪問できる期間は限られています。
公共交通機関でのアクセス
JR上越線・水上駅から関越交通バス「湯ノ小屋行き」に乗車し、終点「湯ノ小屋」で下車後、徒歩またはタクシーでアクセスします。ただし、照葉峡エリアまでは湯ノ小屋から約5km以上あるため、公共交通機関のみでのアクセスは困難です。
タクシーの利用や、レンタカーの利用を検討することをおすすめします。
駐車場情報
照葉峡には専用の駐車場がありません。湯ノ小屋温泉周辺の駐車スペースを利用するか、宿泊施設の駐車場を利用する形になります。紅葉シーズンは特に混雑するため、早めの時間帯に訪れることをおすすめします。
道路脇に一時的に停車できるスペースはありますが、他の車両の通行の妨げにならないよう十分注意が必要です。
照葉峡周辺のおすすめスポット
奥利根水源の森
照葉峡をさらに奥へ進むと、奥利根水源の森があります。利根川の源流域に位置するこのエリアは、原生林が広がる秘境中の秘境です。ブナの巨木や苔むした岩、清らかな水の流れなど、手つかずの自然が残されています。
散策路も整備されており、マイナスイオンたっぷりの森林浴を楽しむことができます。照葉峡と合わせて訪れることで、奥利根エリアの自然の豊かさを存分に体感できます。
オートキャンパーズエリアならまた
みなかみ町内にあるオートキャンパーズエリアならまたは、利根川の清流沿いに位置するキャンプ場です。照葉峡から車で約40分の距離にあり、自然の中でのキャンプを楽しみたい方におすすめです。
オートキャンプサイトのほか、バンガローやコテージも完備されており、初心者から上級者まで幅広く利用できます。川遊びや釣りも楽しめ、家族連れにも人気のスポットです。
湯ノ小屋温泉
照葉峡の玄関口に位置する湯ノ小屋温泉は、秘湯の雰囲気が漂う温泉地です。数軒の温泉宿が点在し、それぞれが源泉かけ流しの良質な温泉を提供しています。
照葉峡の紅葉観賞と温泉を組み合わせた旅程は、秋の群馬旅行の定番コースとなっています。日帰り入浴を受け入れている宿もあるため、ドライブの途中で立ち寄ることも可能です。
照葉峡周辺のおすすめグルメ
らーめん武尊
みなかみ町内で人気のラーメン店らーめん武尊は、地元の人々にも愛される名店です。濃厚な豚骨スープと自家製麺の組み合わせが絶品で、照葉峡観光の前後に立ち寄るのにおすすめです。
ボリュームたっぷりのチャーシューや、季節限定のメニューも人気があります。水上駅周辺に位置しているため、アクセスも便利です。
地元の山菜料理
湯ノ小屋温泉の宿泊施設では、地元で採れた山菜を使った料理を提供しています。春には山菜の天ぷらやおひたし、秋にはキノコ料理など、季節ごとの味覚を楽しむことができます。
特にワラビ、ゼンマイ、タラの芽などの山菜は、都会では味わえない新鮮さと風味が特徴です。
照葉峡周辺のホテル・宿泊施設情報
清流の宿 たむら
湯ノ小屋温泉を代表する宿の一つ清流の宿 たむらは、貸切露天風呂が人気の温泉宿です。照葉峡へのアクセスも良く、紅葉シーズンには多くの観光客が宿泊します。
源泉かけ流しの温泉と、地元の食材を使った料理が評判で、特に貸切露天風呂からは四季折々の自然を眺めながら温泉を楽しむことができます。
奥利根温泉ホテルサンバード
奥利根温泉ホテルサンバードは、藤原湖畔に位置するリゾートホテルです。照葉峡から車で約20分の距離にあり、広々とした客室と充実した温泉施設が魅力です。
大浴場からは藤原湖の景色を一望でき、特に紅葉シーズンには湖面に映る紅葉が美しい光景を作り出します。家族連れやグループでの宿泊におすすめです。
水上高原ホテル200
水上高原ホテル200は、標高1,000mの高原に位置するリゾートホテルです。照葉峡から車で約40分の距離にありますが、広大な敷地内にはゴルフ場やテニスコート、スキー場などのアクティビティ施設が充実しています。
温泉施設も完備されており、照葉峡観光と合わせて高原リゾートを満喫したい方におすすめです。特に秋の紅葉シーズンには、ホテル周辺の紅葉も見事です。
照葉峡を訪れる際の注意点
道路状況と運転
照葉峡へ続く県道63号線は道幅が狭く、カーブも多い山道です。対向車とのすれ違いが困難な箇所もあるため、運転には十分注意が必要です。
特に紅葉シーズンの週末は混雑が予想されるため、時間に余裕を持った行動を心がけましょう。また、雨天時は路面が滑りやすくなるため、速度を落として慎重な運転を心がけてください。
服装と装備
照葉峡エリアは標高が高く、平地に比べて気温が低くなります。特に10月の紅葉シーズンでも朝晩は冷え込むため、防寒着を用意することをおすすめします。
車窓からの観賞が基本ですが、写真撮影などで車外に出る場合は、滑りにくい靴を履くことが重要です。渓谷沿いは足場が悪い箇所もあるため、スニーカーやトレッキングシューズが適しています。
通行可能期間
県道63号線の湯ノ小屋から先は、例年11月中旬から5月末まで冬季閉鎖されます。閉鎖期間中は照葉峡へのアクセスができないため、訪問時期には十分注意が必要です。
閉鎖時期は積雪状況によって変更される場合があるため、事前にみなかみ町役場やみなかみ町観光協会に確認することをおすすめします。
携帯電話の電波状況
照葉峡エリアは山深い場所にあるため、携帯電話の電波が届きにくい箇所があります。緊急時に備えて、事前に宿泊施設や観光協会の連絡先をメモしておくと安心です。
照葉峡の四季の魅力
春から初夏(5月下旬~6月)
雪解けとともに県道が開通すると、照葉峡は新緑の季節を迎えます。芽吹いたばかりの若葉が渓谷を明るい緑色に染め、清流の水量も豊富で滝の迫力が増します。
山菜採りのシーズンでもあり、地元の人々が山菜を求めて訪れる姿も見られます。
夏(7月~8月)
夏の照葉峡は涼を求める人々に人気のスポットです。標高が高いため平地よりも気温が低く、清流のせせらぎと木々の緑が涼しさを感じさせてくれます。
マイナスイオンたっぷりの空気の中、避暑地としての魅力を存分に味わうことができます。
秋(10月上旬~中旬)
照葉峡が最も輝く季節です。水原秋桜子が「日本一」と称した紅葉が渓谷全体を彩り、11の滝と紅葉のコラボレーションは息をのむ美しさです。
この時期は多くの観光客が訪れるため、早朝の訪問がおすすめです。朝霧に包まれた渓谷と紅葉の組み合わせは、特に幻想的な雰囲気を醸し出します。
照葉峡の撮影スポット
潜龍の滝周辺
照葉峡の入口に位置する潜龍の滝周辺は、比較的アクセスしやすい撮影スポットです。滝と周囲の木々を一緒にフレームに収めることができ、特に紅葉シーズンには色彩豊かな写真が撮影できます。
翡翠の滝
エメラルドグリーンの水面が特徴的な翡翠の滝は、晴天時の撮影がおすすめです。光の加減によって水の色が変化するため、時間を変えて何度か訪れると異なる表情を捉えることができます。
ひぐらしの滝
照葉峡最上流のひぐらしの滝は、静寂に包まれた神秘的な雰囲気が魅力です。人が少ない早朝に訪れると、より幻想的な写真が撮影できます。
みなかみ町の他の観光スポット
照葉峡を訪れた際には、みなかみ町の他の観光スポットも合わせて巡ることをおすすめします。
谷川岳
日本百名山の一つである谷川岳は、みなかみ町を代表する山です。ロープウェイで天神平まで登ることができ、そこからは谷川岳の雄大な景色を眺めることができます。
紅葉シーズンには山全体が色づき、照葉峡とは異なる壮大なスケールの紅葉を楽しむことができます。
諏訪峡
利根川の渓谷美を楽しめる諏訪峡は、遊歩道が整備されており、気軽に散策を楽しむことができます。吊り橋からの眺めは特に人気があり、紅葉シーズンには多くの観光客が訪れます。
宝川温泉
日本最大級の露天風呂で知られる宝川温泉は、照葉峡と並ぶみなかみ町の人気スポットです。巨大な露天風呂に浸かりながら、四季折々の自然を眺めることができます。
照葉峡観光のモデルコース
日帰りコース
午前中:水上ICから照葉峡へ向かい、11の滝を車窓から観賞(所要時間:約2時間)
昼食:湯ノ小屋温泉の宿で日帰り入浴と昼食
午後:奥利根水源の森を散策後、水上温泉街へ移動して諏訪峡を散策
夕方:水上温泉で日帰り入浴後、帰路へ
1泊2日コース
1日目
午前:東京方面から出発、水上ICから照葉峡へ
昼食:照葉峡観賞後、湯ノ小屋温泉で昼食
午後:奥利根水源の森散策、宝川温泉で日帰り入浴
夕方:水上温泉または湯ノ小屋温泉の宿にチェックイン
2日目
午前:谷川岳ロープウェイで天神平へ
昼食:水上駅周辺でランチ
午後:諏訪峡散策後、帰路へ
まとめ
照葉峡は群馬県みなかみ町が誇る秘境の渓谷で、俳人・水原秋桜子が命名した11の滝と、「日本一」と称された紅葉が最大の魅力です。関東の奥入瀬とも呼ばれるこの渓谷は、特に10月上旬から中旬の紅葉シーズンに多くの観光客が訪れます。
車窓からの観賞が基本となりますが、約5kmにわたって続く渓谷美と滝の競演は、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。湯ノ小屋温泉と組み合わせた旅程や、奥利根水源の森との周遊など、さまざまな楽しみ方ができるスポットです。
冬季閉鎖期間があるため訪問できる時期は限られますが、その分、開通期間中の自然の美しさは格別です。群馬県を代表する紅葉スポットとして、また秘境の渓谷として、照葉峡は一度は訪れたい絶景スポットといえるでしょう。
関東圏からのアクセスも比較的良好なため、週末の小旅行や紅葉狩りの目的地として最適です。水原秋桜子が愛した美しい渓谷の景色を、ぜひご自身の目で確かめてみてください。