長良川鉄道(岐阜県)

長良川鉄道(岐阜県)
住所 Nagaragawa Tetsudo
例年の見頃 11月中旬〜下旬

長良川鉄道(岐阜県)完全ガイド|路線・観光列車・歴史・料金まで徹底解説

岐阜県の中央部を南北に貫く長良川鉄道は、日本三大清流のひとつ長良川に沿って走るローカル鉄道です。美濃太田駅から北濃駅まで全長72.1kmを結び、清流の景観や里山の風景を楽しめる観光資源として、また地域住民の生活の足として重要な役割を果たしています。本記事では、長良川鉄道の魅力から実用的な利用情報まで、詳しく紹介します。

長良川鉄道とは

長良川鉄道株式会社は、岐阜県関市に本社を置く第三セクター方式の鉄道会社です。岐阜県、郡上市、関市、美濃加茂市が出資し、旧国鉄越美南線を引き継いで運営しています。

基本情報

  • 路線距離: 72.1km(美濃太田駅~北濃駅)
  • 駅数: 38駅
  • 軌間: 1,067mm(狭軌)
  • 電化方式: 非電化(ディーゼル車両運行)
  • 単線区間: 全線単線
  • 本社所在地: 岐阜県関市元重町74-1

長良川鉄道は、JR高山本線・太多線が交わる美濃太田駅を起点とし、富加町、関市、美濃市を経て郡上市の北濃駅まで、美濃山地の谷筋を走行します。約50kmにわたり長良川に沿って走るため、四季折々の清流の景観を車窓から楽しめることが最大の魅力です。

長良川鉄道の歴史

国鉄越美南線時代

長良川鉄道の歴史は、国鉄越美南線に遡ります。

  • 大正12年(1923年): 美濃太田~美濃町(現・美濃市)間が開業
  • 昭和9年(1934年): 北濃までの全線が開通
  • 昭和55年(1980年): 国鉄再建法により特定地方交通線に指定

越美南線は、岐阜県の美濃太田と福井県の越前を結ぶ「越美線」構想の一部として建設されました。しかし、全線開通は実現せず、美濃太田~北濃間のみが「越美南線」として運行されていました。

第三セクター化

国鉄の経営悪化に伴い、越美南線は廃止対象となりましたが、地域住民の熱意と岐阜県の支援により存続が決定しました。

  • 昭和61年(1986年)12月11日: 長良川鉄道株式会社として第三セクター化、営業開始
  • 平成7年(1995年): 新駅の設置や車両の更新を実施
  • 平成28年(2016年): 観光列車「ながら」の運行開始

第三セクター化後は、経営の合理化を図りながらも、新駅の設置や新車両の導入、観光列車の運行など、地域活性化に向けた取り組みを積極的に行っています。

観光列車「ながら」による再生

人口減少と自動車利用の増加により厳しい経営状況が続く中、長良川鉄道は現状打破の切り札として、平成28年(2016年)に観光列車「ながら」を導入しました。この取り組みは全国的に注目され、鉄道ファンや観光客の誘致に成功し、長良川鉄道の新たな魅力として定着しています。

路線と駅

長良川鉄道越美南線は、美濃太田駅から北濃駅まで38駅を結んでいます。10の橋梁を渡り、12のトンネルを抜けて走る路線は、変化に富んだ景観が楽しめます。

主要駅の紹介

美濃太田駅(起点)

JR高山本線・太多線との乗換駅であり、長良川鉄道の玄関口です。美濃加茂市の中心駅で、岐阜県中部の交通の要所となっています。

関駅

関市の中心駅で、刃物の町として知られる関市への玄関口です。関市役所や商店街へのアクセスに便利な立地にあります。

美濃市駅

美濃市の中心駅で、うだつの上がる町並みで有名な美濃市観光の拠点です。駅舎は近代的なデザインで、観光案内所も併設されています。

郡上八幡駅

郡上八幡城や郡上おどりで知られる郡上八幡の最寄り駅です。城下町の風情が残る郡上八幡の町並みまでは徒歩約20分、バスも利用できます。郡上八幡は長良川鉄道沿線でも特に人気の観光地であり、夏の郡上おどりシーズンには多くの観光客が訪れます。

美並苅安駅

郡上市美並町にある駅で、周辺には清流長良川の自然が広がります。釣りやキャンプなどアウトドアを楽しむ拠点としても利用されます。

北濃駅(終点)

郡上市白鳥町にある終着駅です。標高約250メートルの山間部に位置し、冬季には雪景色が美しい地域です。白山信仰の歴史が残る白鳥町への玄関口となっています。

全駅一覧

長良川鉄道越美南線の全38駅は以下の通りです:

美濃太田、前平公園、加茂野、富加、関富岡、関口、刃物会館前、関、関市役所前、関下有知、松森、美濃市、梅山、湯の洞温泉口、洲原、母野、木尾、八坂、みなみ子宝温泉、大矢、福野、美並苅安、赤池、深戸、相生、郡上八幡、自然園前、山田、徳永、郡上大和、万場、上万場、大中、大島、美濃白鳥、白鳥高原、北濃

各駅には地域の特色を活かした駅名が付けられており、「刃物会館前」「湯の洞温泉口」「みなみ子宝温泉」など、観光資源を駅名に取り入れた例も見られます。

観光列車「ながら」の魅力

「ながら」の概要

観光列車「ながら」は、平成28年(2016年)4月より運行を開始した長良川鉄道の観光列車です。水戸岡鋭治氏によるデザインで、赤色を基調とした外観と木のぬくもりを感じる内装が特徴です。

運行プラン

「ながら」には複数のプランがあり、目的や予算に応じて選べます:

ランチプラン

岐阜県産の食材を使用した本格的なコース料理を、長良川の景色とともに楽しめるプランです。美濃太田駅から北濃駅まで、往復約5時間の旅を満喫できます。

スイーツプラン

地元パティシエが手掛けるスイーツと飲み物を楽しみながら、ゆったりと車窓の景色を眺めるプランです。女性グループや家族連れに人気があります。

ビュープラン

食事は含まれませんが、観光列車「ながら」の車両で長良川沿線の景色を楽しめるプランです。リーズナブルに観光列車の雰囲気を味わえます。

郡上おどり列車(夏季限定)

夏の郡上おどりシーズンには、車内で郡上おどりを体験できる特別列車も運行されます。

予約方法

観光列車「ながら」は完全予約制です。長良川鉄道の公式ウェブサイトから予約できます。人気が高く、特に週末や紅葉シーズンは早めの予約が必要です。

運賃・乗車券情報

普通運賃

長良川鉄道の運賃は距離に応じて設定されています。主な区間の運賃例(大人片道):

  • 美濃太田~関:320円
  • 美濃太田~美濃市:540円
  • 美濃太田~郡上八幡:1,150円
  • 美濃太田~北濃:1,550円

子ども運賃は大人の半額(10円未満切り上げ)です。

お得な乗車券

1日フリーきっぷ

長良川鉄道全線が1日乗り降り自由になる乗車券です。

  • 大人:2,700円
  • 子ども:1,350円

途中下車して沿線の観光地を巡るのに最適です。美濃市のうだつの町並み、郡上八幡城、道の駅などを効率的に訪れることができます。

2日フリーきっぷ

連続する2日間、長良川鉄道全線が乗り降り自由です。

  • 大人:3,500円
  • 子ども:1,750円

じっくりと沿線を観光したい方におすすめです。

回数券

通勤・通学などで定期的に利用する方向けの回数券も販売されています。11枚綴りで10枚分の料金となり、お得に利用できます。

IC乗車券について

長良川鉄道では、ICカード(TOICA、Suicaなど)は利用できません。乗車券は駅の券売機や車内で購入する必要があります。

車両紹介

長良川鉄道では、ディーゼルカーが運行されています。非電化路線のため、すべての車両がディーゼルエンジンを搭載しています。

一般車両

ナガラ300形

第三セクター化後に導入された主力車両です。2両編成または単行で運行され、ローカル線らしい親しみやすいデザインが特徴です。車体には長良川や沿線の自然をイメージしたカラーリングが施されています。

ナガラ500形

平成に入ってから導入された新型車両で、冷房装置を完備し、より快適な乗車環境を提供しています。バリアフリーにも配慮された設計となっています。

観光列車「ながら」専用車両

観光列車「ながら」には、既存の車両を改造した専用車両が使用されています。

ながら1号車(森号)

木のぬくもりを感じる内装で、ランチプランなどで使用されます。テーブル席が配置され、ゆったりと食事を楽しめる空間となっています。

ながら2号車(川号)

大きな窓から長良川の景色を存分に楽しめる設計で、ビュープランやスイーツプランで使用されます。

長良川鉄道の見どころ

車窓からの絶景

長良川鉄道最大の魅力は、車窓から楽しめる長良川の清流と里山の風景です。

春(3月~5月)

桜並木や新緑が美しく、長良川沿いの桜スポットを車窓から楽しめます。特に関市や美濃市周辺の桜は見事です。

夏(6月~8月)

深緑の山々と清流のコントラストが鮮やかです。鮎釣りのシーズンでもあり、川で釣りを楽しむ人々の姿も見られます。郡上八幡では夏の風物詩「郡上おどり」が開催されます。

秋(9月~11月)

紅葉シーズンには、山々が赤や黄色に染まり、長良川鉄道沿線は絶景スポットとなります。特に10月下旬から11月上旬が見頃です。

冬(12月~2月)

北部の白鳥・北濃周辺では雪景色が広がり、冬ならではの静謐な美しさを楽しめます。雪化粧した山々と長良川の風景は格別です。

沿線の観光スポット

うだつの上がる町並み(美濃市)

美濃市駅から徒歩圏内にある、江戸時代の商家の町並みが保存された重要伝統的建造物群保存地区です。「うだつ」と呼ばれる防火壁を備えた商家が軒を連ね、タイムスリップしたような雰囲気を味わえます。

郡上八幡城

郡上八幡駅からバスまたは徒歩でアクセスできる山城です。天守閣からは郡上八幡の町並みを一望でき、秋には雲海が見られることもあります。

関鍛冶伝承館(関市)

刃物の町・関市の伝統を学べる施設です。関駅から徒歩圏内にあり、日本刀の鍛錬実演や刃物の展示を見学できます。

道の駅・温泉施設

沿線には複数の道の駅や温泉施設があり、途中下車して地元グルメや温泉を楽しむことができます。湯の洞温泉口駅、みなみ子宝温泉駅など、駅名に温泉名が入っている駅もあります。

アクセス方法

名古屋方面から

JR東海道本線で岐阜駅または名古屋駅からJR高山本線に乗り換え、美濃太田駅で長良川鉄道に接続します。

  • 名古屋駅~美濃太田駅:JR快速で約1時間
  • 岐阜駅~美濃太田駅:JR普通で約30分

岐阜市内から

岐阜駅からJR高山本線で美濃太田駅へ向かいます。または、岐阜バスの路線バスで関市や美濃市へ直接アクセスすることも可能です。

自動車でのアクセス

東海北陸自動車道を利用し、美濃IC、美濃IC、郡上八幡IC、白鳥ICなどから各駅へアクセスできます。主要駅には駐車場が整備されています。

新岐阜駅乗り入れ計画

過去には、長良川鉄道を岐阜市中心部の新岐阜駅(現・名鉄岐阜駅)まで延伸する計画が検討されたことがありました。これは利便性向上と利用者増加を目指したものでしたが、建設費用や採算性の問題から実現には至っていません。

現在でも岐阜市内からのアクセス改善は課題となっており、将来的な検討課題として残されています。

長良川鉄道の利用シーン

観光目的

観光列車「ながら」での優雅な旅や、1日フリーきっぷを使った沿線周遊観光が人気です。鉄道ファンにとっては、ローカル線の雰囲気や車両、沿線風景が魅力的な撮影スポットとなっています。

地域住民の生活の足

沿線住民にとって、通勤・通学、買い物、通院などの日常的な移動手段として欠かせない存在です。特に自動車を運転できない高齢者や学生にとって重要な交通機関となっています。

イベント列車

季節ごとに様々なイベント列車が運行されます。郡上おどり列車、ビール列車、サイクリング列車など、ユニークな企画が実施され、地域の魅力を発信しています。

長良川鉄道の経営と課題

経営状況

長良川鉄道は第三セクター鉄道として、岐阜県や沿線自治体の支援を受けながら運営されています。人口減少と自動車社会の進展により、輸送人員は減少傾向にあり、経営は厳しい状況が続いています。

観光振興による活路

観光列車「ながら」の導入により、観光需要の開拓に成功しました。メディアでの紹介も増え、全国から観光客が訪れるようになっています。今後も観光資源としての価値を高めることが、経営改善の鍵となっています。

地域との連携

沿線自治体や観光協会、地域住民と連携し、駅を拠点とした町おこしや、鉄道を活用したイベントの開催など、地域活性化の取り組みが進められています。

長良川鉄道を楽しむためのヒント

おすすめの利用方法

  1. 1日フリーきっぷで途中下車の旅: 気になる駅で途中下車し、町歩きや食事を楽しむ
  2. 観光列車「ながら」で特別な体験: 記念日や特別な日に、優雅な列車旅を満喫
  3. 季節のイベント列車に参加: 郡上おどり列車など、季節限定の企画列車を体験
  4. 撮影スポット巡り: 鉄道写真愛好家向けに、長良川と列車の絶景ポイントを巡る

持参すると便利なもの

  • カメラ:車窓の絶景を撮影
  • 時刻表:本数が少ないため、事前の確認が重要
  • 観光マップ:沿線観光地の情報収集
  • 飲み物・軽食:車内販売は限定的

マナーとエチケット

  • 車内での飲食は可能ですが、ゴミは持ち帰りましょう
  • 混雑時は席を譲り合いましょう
  • 撮影時は他の乗客の迷惑にならないよう配慮を
  • 無人駅では乗車時に整理券を取り、降車時に運賃を支払います

まとめ

長良川鉄道は、岐阜県の豊かな自然と地域文化を体感できる魅力的なローカル鉄道です。日本三大清流のひとつ長良川に沿って走る72.1kmの路線は、四季折々の絶景を楽しめる観光資源であると同時に、地域住民の大切な生活の足でもあります。

観光列車「ながら」の登場により全国的な注目を集め、新たな観光スタイルを提案しています。美濃市のうだつの町並み、郡上八幡の城下町、関市の刃物文化など、沿線には魅力的な観光スポットが点在し、途中下車の旅を楽しむことができます。

人口減少や自動車社会の進展という課題を抱えながらも、観光振興や地域との連携により、新たな価値を創造し続けている長良川鉄道。岐阜県を訪れる際には、ぜひこの魅力的なローカル鉄道に乗車し、清流と里山の風景、そして沿線の文化に触れてみてください。ゆったりとした列車の旅が、日常を忘れさせてくれる特別な時間を提供してくれるはずです。

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